マチネの終わりに、が切なすぎる映画です。
皆さん、暑いし、どこも行けない昨今、自宅で映画など決めてみてはいかがでしょうか。私は三日お盆休みいただきましたので、休み前にちゃんとレンタルショップ寄ってきましたよ。
たぶん、自粛ムードでなくとも同じことをしていたかもしれません。
どこも行く予定はもとよりありませんでした……。
それはともかく、とても美しく、切ない映画を拝見しましたのでご紹介します。
石田ゆり子さんと福山雅治さん主演の映画「マチネの終わりに」。芥川賞作家、平野啓一郎さんの同名作品が原作であります。
あらすじ
公演の後、パリの通信社に勤務するジャーナリスト・小峰洋子に出会う。
出会った瞬間から、強く惹かれ合い、心を通わせた二人。
高まる想いを抑えきれない蒔野は、洋子への愛を告げる。
蒔野と洋子の間に思わぬ障害が生じ、二人の想いは決定的にすれ違ってしまう。
別々の道を歩む二人が辿り着いた、愛の結末とは―
感想(ちょっとだけネタバレ)
たまたま、日本に帰宅してたまたま音楽会社の友達に誘われて、出会った二人。
でも初回で二人は感覚がとても似ていることを感じとるのです。
惹かれあう人というのは少しの邂逅でわかってしまうものなんですね。
会話もおしゃれで、小説が原作というのもうなづけます。
音楽とセリフ、風景がとても美しい映画です。
なので、大人のラブストーリーとあって、「二人はいつラブラブするの!?」と思ってしまった、そこのあなた、この作品はそういったシーンはほぼ皆無です。
想いが通じる瞬間、距離が近くなるときはあるのですがその程度です。
とても静かで、ときに情熱的ですが、主に心の描写で繊細に描かれている映画です。
だから私は二度見しました。いまどき大人のラブストーリーとあってR15でもない作品は珍しいな、と。原作をとても大事にした映画だと思いました。
ちなみに私は原作を読んでませんが、すいません(;^ω^)
すれ違い続ける物語です。時が残酷にも流れてしまいます。
2人がようやく会える、となったとき、どちらかに不都合が生じます。
最初は小峰洋子。次に薪野聡史。
小峰洋子はジャーナリストなので、パリでの爆破テロを追っていたとき自身も巻き込まれてしまいます。落ちていきそうになったとき、救ってくれたのが薪野の音楽でした。
日本とパリ、それぞれ居場所が違うのですが、出会える瞬間があります。
あと少し、と思うのに何かがあってじれったいです。
お互い、独身ではなくなったりますよね。
そうして、決定的に二人を分けてしまった出来事が実は、という事実もあったり、と誰を責めるわけでもなく「あああ」とうめいてしまう感じなのです。
人生とは思い通りにいかないものです。
それでも、未来を変えれば過去が変わる、といった物語のテーマのようにすれ違った日々、出会えなかった過去が、意味をなさないというのは違います。
無意味な人生などないというように、未来が過去を変えていくものなのです。
いい風にも悪い風にも。
終わりは観た人にとってそれぞれ違う受け取り方をされると思います。
私はハッピーエンドだと思いましたよ。
美しいパリ、と日本、それぞれもきれいに物語に色を与えております。
外出はできませんが、せめて、映像だけでも遠くに心を飛ばしてみてはいかがでしょうか。
劇中に流れているギターの音色も切なさに色どりを与えています。