このミス大賞「元彼の遺言状」の感想!
こんばんわ。
作者さんにまず惹かれて購入して読んだ本作。
スカッとするし、とても面白かったです。
とてもいい小説家さんが生まれました。
この前、作者さんについては、こちらの記事で述べました。
簡単にあらすじを説明しますと、
主人公の弁護士の元彼が、「僕の全財産は、僕を殺した犯人に譲る」という謎の遺言状を残して亡くなってしまいます。
お金大好きな主人公が遺産相続ミステリーに巻き込まれてしまいます。
読んだ感想!
主人公がいまどきめずらしく、バブル期の女性のようなお金大好きキャラです(笑)
でも、お金って悪くないですよね。お金大好きって悪くありません。
そこも潔くて好きです。
本作自体、とてもシンプルな文体で、主人公の剣持麗子もうじうじ考えない性質です。
ところが、彼女は自分のことをやさしくないって考えていたようですが、心が揺らいだり、涙を流したり、落ち込むシーンもあったりします。
犯人選考会に参加することとなり、死んだ元彼(三人前の彼)の一族が出てきます。
剣持麗子自身が殺した、と手をあげるのではなく、殺したということになる? と考える男にやとわれて参加することとなります。
それと、同時に死んだ森川英治は元カノたち(何人もいるんです)らにも少額ですが遺産を渡すということで、剣持麗子は弁護士役と、遺産もらう側としても参加します。
なかなか、特異な設定です。
主人公視点で物語が展開していくのですが、まるで顔色の悪いブルドックのような、とか、嫌いなタイプの女、とか表現していくのですが、会話していくうち、見直したり心を許したり、彼女のこと好きかもしれないと考えたりします。
彼女自身も今回の事件を追う事で、お金以外の大事なことを追求していくこととなります。反省したりね。
ひとり、弁護士が亡くなってしまうのですが、彼と出会たことも大きかったです。
彼は、いわゆる町弁。
お金じゃなくて人のために仕事をしていました。または、亡くなった憧れの人みたいに。
ミステリにとって当たり前かもしれませんが、みんながみんなどこかで繋がっています。複雑に絡み合った、というわけでもありませんが、伏線がうまく繋がっていきます。主人公自身の過去の些細なもやもやとかも解消されていきます。
実写化したらいいなあと思いました。
お金に不安があるけど、こう大きい金額で派手な主人公が、振り回されていく話はリーガルハイ好きな人は好みかと思います。
主人公は御存命なら竹内結子さんが浮かびましたが、今なら北川景子さんとかいいかなあとか(笑)
剣持麗子さんは美人で敏腕弁護士なのです。
「競争的贈与」ポトラッチという言葉が出てきます。
興味深いです。
とあるふたつの部族があって、贈り物をされたら、それを上回る贈り物を送らないとルール違反。戦闘に至り、首長が殺されるそうです。
なので、相手が贈り返すことができないほど大きい贈り物をぶつける――文化人類学の話になるのですが、もちろん、事件のヒントとなります。
返しきれないほどの贈り物って悪になるんですね。
人は物を返したい生き物ですから。
まとめ
最後のシーンは疾走感が溢れて映像が浮かびます。
絶対、映画向きです。
スカッとしたい方、面白いミステリを読んでみたい方、ぜひ元彼の遺言状を手にとっていただきたいです。
このミス大賞、珍しく満場一致したというのも頷けます!