「文官は優しい夢を手に入れる」がいい話で良かったです。
メリッサ文庫といえば、ちょっとあれなシーンが入っている乙女小説のレーベルなのですが、こちらの小説はとてもいい塩梅でした。
私は通販で購入したのですが、挿絵もいやらしいのは無いし、ペラペラ読んでも地の文がしっかりあります。
ストーリーとしては、
ちょっとだけ不思議な力を持っている下級貴族のプリシアが主人公。
彼女は触れている間だけ他人を癒すことができます。
けれど触れている間だけなので完治はできません。
こちらの物語の世界観は魔法が存在するので、両親も魔術師に見てもらいましたが、何もないとのこと。
不思議がっていましたが、主に病弱な弟のみ使っていました。
弟が成長して癒し手も必要なくなったころ、下流貴族なので行儀見習いで学校に通います。
卒業する際、王が変わってくそ忙しい王宮に勤めることになりました。
そこで出会ったしまったのが王にいろいろ命令されて頭痛に悩まされる文官クリエット。狭いところで寝ていたところをプリシアが見かねて頭に手を置いたらすっきり仮眠。
その力を知ったクリエットは王太子に結婚したら? の一言でさくっとプロポーズします。
後で怒られていましたが、「癒し手」のために眠りたいがために結婚したようなものでした。
それが元気になってきて半年たったくらいにようやく妻を抱きます(笑)
プリシアも現実主義みたいなところがあるので、何も言いませんでした。
寂しくは思ってましたが。
主人公でなかったら、激怒する展開ですよね。
プリシアが優しい。
よく眠れているならよかった、と安堵するのです。
クリエットも彼女のやさしさに触れて仕事人間から普通の男性に戻れました。
まるでブラック会社に勤めている人のようです。
王太子は国をよくしようと意欲的な人なので、悪い人ではないです。
ですが、クリエットが疲れていたのだとあとで知ります。
仕事できるから勘違いしていたんですね、怖いですね。
まるで現代社会の話のようで感覚的によくわかります。
ゆっくり眠れることって本当に大事ですよね。
この小説は悪い人が出てきません。
ですが穏やかに物語が進んでいきます。
とても読みやすかったのでおススメです。
(ちゃんとベッドシーンも丁寧です)