とまとさんの生存報告。

働きながら最終的に小説家になりたい人のブログ。

エムブリヲ奇譚が古典的ホラーで面白いです。

 

皆さん、この前から乙一さんプッシュしておりますが、何かハマれる小説はないかと思ったときに、私は彼の著書を手にとります。

間違いないから!

 

今回、ご紹介しますのは「エムブリヲ奇譚」。

乙一名義ではなく、山白朝子名義。

彼はいくつもの名前を持っています。中田永一さんは青春よりの話、乙一さんは、集合体、山白朝子さんは幻想ホラー、といった感じでしょうか。

安達寛高名義で監督もされてますね。

すべて読破はしておりません、積読はしてあるのですが(;^ω^)

 

山白朝子名義の本は、本書が初めて読みました。

 

あらすじ

「わすれたほうがいいことも、この世には、あるのだ」無名の温泉地を求める旅本作家の和泉蝋庵。

荷物持ちとして旅に同行する耳彦は、蝋庵の悪癖ともいえる迷い癖のせいで常に災厄に見舞われている。

幾度も輪廻を巡る少女や、湯煙のむこうに佇む死に別れた幼馴染み。そして“エムブリヲ”と呼ばれる哀しき胎児。

出会いと別れを繰り返し、辿りついた先にあるものは、極楽かこの世の地獄か。哀しくも切ない道中記、ここに開幕。

 

感想

耳彦という博打と酒好きの荷物持ちは一体、どれだけ死にかけたら気にするむのだろうと心配になります(笑)

旅本作家の和泉蝋庵先生の迷い癖もひどすぎます。

人間の醜い面やいやしい面をグロテスクに描いていることから、日本昔話の雰囲気もあります。それでも、読みやすく耳彦と先生のやりとりは笑えますね。

短編集なのですが、どれも面白く、続きをめくる手がとまりませんでした。

タイトルにもなっている、「エムブリヲ奇譚」も素晴らしいのですが、中でも「ラピスラズリ幻想」が壮大です。

和泉蝋庵と耳彦の旅に、出版元から輪と名乗る少女が旅に同行することとなります。

彼女はとあるラピスラズリを受け取ったことから、数奇な運命をたどることとなります。

まるで私も何度も輪廻を経験したかのような不思議な気持ちとなりました。

彼女は続編である「私のサイクロプス」ではメインキャラとなってます。

なので、二巻の方が少しギャグ要素が増えて読みやすいですね。輪は花があります。

蝋庵先生は髪の長い美形なのですが、迷い癖以外ふつうの方なので(今のところは)ご隠居的ポジション。

「地獄」という話があるのですが、まさに「地獄」です。やっぱり生きている人が一番恐ろしいですね……。

 

二巻では、旅本が飽和状態となっているから、各地の怪奇な話をまとめてもいいかもしれないと道中話しておられました。

それと共に、蝋庵先生は自身について探っていることがあるらしく、まだ続きそうです。

いや、続いてほしいです!

とても、好きなテイストです。

読書の秋となってきましたし、秋の夜長にじっくり読書体験されてはいかがでしょうか。